ドイツ政府は、二酸化炭素(CO2)貯留法改正に向け、草案をまとめた。一部の産業に、パイプラインによるCO2の輸送と海底下でのCO2貯留を認める。2045年までに気候中立を達成する目標に向けて、CO2の回収・貯留(CCS)を制限する政策を転換した。ハーベック副首相兼経済・気候保護相が26日明らかにした。
草案は、セメントや石灰など炭素集約型産業や、ガスとバイオマスの発電所などにCCSを認めるとともに、CO2輸送パイプラインのインフラ整備に向けた法的枠組みの構築を目的としている。海洋保護区域を除く排他的経済水域(EEZ)内の海底下での貯留を認めるが、陸上では引き続き認めない。CCSに取り組む企業に対して補助金は支給しない。
ハーベック氏は、「CCSを可能にしなければ気候変動の目標達成は不可能だ」と述べ、ドイツの産業競争力にとっても重要と強調している。政府は、22年末に公表されたCO2貯留法の評価報告書に基づいて、炭素管理戦略と同法改正案の要点を作成。これを基に、昨年3~8月に企業や学術界、市民の代表者と協議を重ねてきた。政府は、45年までに年に3,400万~7,300万トンのCO2回収が必要と試算している。
政府の方針転換に対して環境保護団体からは、CCS技術は費用がかさむうえ持続不可能であり、発電分野への利用は化石燃料の継続に道を開くものだと批判の声が上がっている。[環境ニュース]
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