ドイツ政府は20日、グリーン水素の輸入拡大に向け、2027~36年に気候変動基金から35億3,000万ユーロを拠出すると発表した。輸入したグリーン水素製品の調達プログラム「H2グローバル」スキームへの補助金として交付する。
ハーベック経済・気候保護相は「グリーン水素は未来の重要なエネルギー源となる」とした上で、国内の産業や電力供給のために、30年以降に大量の水素を輸入できる体制を整えていく方針を示した。
H2グローバルは、グリーン水素取引のプラットフォームとして政府が21年に設立した。世界各国の供給者と国内の買手を結び付ける「ダブル入札」により、できるだけ安価で輸入したグリーン水素を最も高値で買い取る企業に供給することを狙う。政府が今回、拠出を決めた資金は、輸入価格と企業への販売価格の差額を埋めるために用いられる。
ロイター通信によると、この差額が政府が目安とする1キログラム当たり4ユーロに収まれば、今回の資金を使って今後10年間で100万トン近くのグリーン水素の輸入が実現する。これを国内の鉄鋼メーカーに供給した場合、鉄鋼産業の炭素排出量を約5%削減できる見通しだ。
ドイツ政府は昨年7月に打ち出した新国家水素戦略で、国内の水素消費量は30年までに最大130テラワット時に達すると予想。うち最大70%は輸入で賄う必要があると試算している。[環境ニュース]
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