英シンクタンクの国立経済社会研究所(NIESR)は8日、英政府が減税ではなく、インフラ整備や労働者の技能向上に大規模な投資をしなければ、英国経済は今後10年にわたり低迷するとの見方を示した。22日に予定されている秋季予算案の発表では、2025年1月までに実施される総選挙を見据え、与党・保守党が票集めのため減税に打って出るとみられている。
NIESRは、年間世帯所得3万2,000ポンド以下の世帯のインフレ調整後の所得は、26年末まで新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準に回復しないと予想。景気回復の加速に向け、国内総生産(GDP)の3%相当の投資を毎年行うほか、企業投資を促進するためのインセンティブを設けるべきとしている。今年の公共投資額は対GDP比3%に達する見通しだが、来年以降は同2%に縮小するとみている。その差は毎年300億ポンドに上る。
GDP成長率については、今年は0.6%、来年は0.5%と小幅な伸びにとどまると予想。25年には1%となり、28年には1.7%まで加速するが、08年の世界金融危機以前の水準を大きく下回るとみている。
インフレ率は25年末までに2%まで減速すると予想。政策金利は現在の5.25%がピークで、今後は3~3.5%に落ち着くとみている。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。