ドイツで連立政権を組む中道左派の社会民主党(SPD)と環境政党・緑の党、リベラル派の自由民主党(FDP)の3党は3日、連邦カルテル庁の権限強化に向けた競争法の改正で合意したと発表した。実現すれば、同庁は個別の企業に対する措置に加え、市場の混乱に直接対処することが可能となる。
改正により、連邦カルテル庁は理由なく価格が急騰し市場が混乱した場合に対応しやすくなるほか、競争法違反によって生じた利益の回収が容易になる。また、新事業やスタートアップ企業に公平な機会を与えて過剰な価格競争を回避。競争が阻害された場合に小規模事業者が保護されやすくなるという。
連邦カルテル庁の介入前には、市場における企業の重要性の審査が必要となることから、中規模企業は大企業の市場支配力や同庁の介入から守られる。さらに、連邦カルテル庁の措置に企業が異議を申し立てた場合、司法審査を待つ間は執行が停止されるという。
ドイツ政府は4月、競争法の改正案を閣議決定。今回は、細部を巡る修正について合意した。なお、ドイツ産業連盟(BDI)などの業界団体は、ビジネス拠点としてのドイツの弱体化につながるとして反発している。
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