中銀のドイツ連邦銀行は16日、今年の国内総生産(GDP)が0.3%減少するとの見通しを示した。高インフレの影響で経済の回復は遅れており、消費者の購買力の低下につながっていると指摘する。また、インフレ率は2025年まで2%を上回る水準にとどまるとの見方を示した。
中銀はGDP成長率について、来年は1.2%、2025年は1.3%と予想。インフレ減速と賃金の上昇に加え、労働市場が堅調なことで家計の購買力が徐々に回復し、消費が進むとみる。
一方で、金融引き締めにより民間投資は住宅建設を中心に停滞する見通しだ。さらに、輸出企業にとっては賃金上昇圧力だけでなく通貨ユーロ高が逆風となる。ただ、外需の拡大で輸出は緩やかに伸びるとしている。
政府最終消費支出は、今年は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)関連の支出が徐々に縮小するため減少するが、その後、再び大幅な増加に転じる見込み。インフレ率は今年は5.2%を記録するが、24年は3.1%、25年は2.7%にそれぞれ減速する。ただ、エネルギー価格が落ち着きを取り戻す一方で、価格変動の激しいエネルギーと食品を除いたコアインフレ率は高水準が続くと指摘する。
中銀のヨアヒム・ナーゲル総裁は、インフレの上振れリスクは残っているとした上で、インフレの長期化による経済的および社会的リスクに対応するには、断固とした金融政策が鍵となるとの考えを示した。
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