ドイツ政府は14日、同国初の国家安全保障戦略を閣議決定した。ロシアを安全保障上の最大の脅威と位置付けているほか、中国との競争関係が深化していると強調。国防費を国内総生産(GDP)の2%に拡大すると明記している。
同国はこれまで防衛白書に安全保障政策を盛り込んできた。しかし、ショルツ首相は2021年11月、安全保障環境の変化を踏まえ、外務省に国家安全保障戦略の策定を命じた。今回、その後のウクライナ危機や、ロシアとドイツを結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム」の爆発を受け、こうした戦略の必要性が一段と高まった格好だ。
国防費をGDPの2%とする時期については、24年からの実施を目指す。実現に向けて、他の支出の削減に取り組んでいく。
ロシアは、欧州・大西洋の平和にとって最大の脅威と強調。欧州の民主主義の不安定化と、欧州連合(EU)および北大西洋条約機構(NATO)の弱体化を狙っているとしている。
中国については、地域の安定に圧力をかけ、人権をないがしろにしていると指摘。ルールに基づく既存の国際秩序を書き換えようとしており、経済力を政治目的に利用しているとの見方を示した。ただ、中国との競争関係が深まっているとする一方で、国際的な課題の解決には同国との協力が不可欠としている。
ドイツの外交方針は、経済的利益の優先から安全保障の重視へとシフトしており、今回の国家安全保障戦略でもこうした方針が示されている。
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