欧州委員会は20日、ドイツ政府によるエネルギー大手ユニパー(Uniper)を国有化する計画を条件付きで承認した。国有化の必要性や妥当性、規模について、欧州連合(EU)の国家補助規則を順守していると判断した。
ドイツ政府は経営難に陥っているユニパーについて、80億ユーロの増資を引き受けるとともに、2024年までに総額250億ユーロの資本注入を段階的に行う計画。これにより、政府はユニパーの株式約99%を保有することになる。財務省が株主となり、経営が安定するまでは配当は受け取らない。
欧州委はこの計画について、ロシアのウクライナ侵攻とそれに伴うガス供給の途絶という異例の事態において、「競争への影響を最小限に抑える措置を取った上で、ユニパーの財務状況と流動性を回復することを目指している」と評価。支援の規模は必要最低限に抑えられているとの判断を下した。
ただ、欧州委はドイツ政府に対し、23年3月末までにユニパーの長期的な存続可能性に対する評価を提出するよう求めた。同時に、遅くとも28年末までに出資比率を25%プラス1株以下に引き下げるとの条件を付けている。
また、ユニパーは26年末までは、取締役の報酬の中でボーナス支給の禁止を含めた厳しい制限を行う。さらに、企業としての存続に必要な場合を除いては、他社の株式取得は禁止される。
これ以外にも、同社は一部資産の売却を義務付けられた。具体的には、ドイツ西部のダッテルン(Datteln)発電所、ハンガリーのジェニュー(Gonyu)発電所、ドイツの地域暖房事業、北米の電力事業、一部子会社の保有株式などが対象となる。また、現在保有するガスの貯蔵およびパイプラインの使用容量についても、競合他社に開放する必要がある。
ユニパーは20日に臨時株主総会を開き、国有化計画を最終的に承認した。同社のクラウスディーター・マウバッハ最高経営責任者(CEO)は、「売却する資産や事業について、最適な所有者を見つけるため全力を尽くす」と述べている。[EU規制]
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