独政府の諮問機関である気候変動に関する専門家委員会は4日、隔年の報告書を公表し、現行政策のままでは2030年に温室効果ガスを1990年比で65%削減する目標を達成するのは難しいとの見通しを明らかにした。目標達成に向け、気候政策の大きな転換を求めている。
同専門家委員会は、2030年の目標達成には過去10年間の削減量と比べて年に2倍以上の削減が必要になると指摘。特に工業部門では10倍、輸送部門では14倍の削減が必要という。
報告書によると、00~21年にドイツの温室効果ガスの排出量は約27%減少し、14年以降は削減量のほぼ半分がエネルギー部門によるものだった。一方、建物、輸送、工業の各部門は10年までは大きな効果を上げていたものの、その後は削減量が停滞している。
政府は昨年、気候保護法を強化し、30年までに電力の80%を再生可能エネルギーで賄う目標を掲げた。しかし報告書は、煩雑な手続きや建設地の地元住民の反対、中国からの部品供給の混乱などにより、目標達成に向けて遅れが出ていると指摘している。
専門家委員会は、こうした状況を打開するため、輸送部門と建設部門での政策転換、消費者の行動変容、全部門に対する厳しい排出制限の導入などを挙げている。[環境ニュース]
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