ドイツ政府は19日、ロシア産天然ガスの供給減に備え、国内のガス消費量を削減する緊急措置を打ち出した。石炭火力発電を拡大することにより、冬場に向けガス貯蔵量を増やす方針。また、産業界の消費量低減を促すため、ガスを節約した企業が有利になるガスオークション制度を導入するとしている。
ドイツではガス火力発電が2021年の電力消費量の約15%を占めた。政府は5月、これに替わる代替電力源として、最大で設置容量10ギガワット相当の石炭火力発電所を期間限定で待機させる法案を提出していた。政府は今回、この法案を早急に成立させ、発効と同時に石炭火力発電を拡大する方針を示した。
ハーベック副首相兼経済・気候保護相はこの日に出した声明で、炭素排出量の多い石炭火力発電を増やすことは「残念」とした上で、「冬までにガス貯蔵施設を満タンにすることが今の最優先課題だ」と強調した。
一方、産業界向けのガスオークション制度は夏に導入される予定。ガスを節約した企業に対価を支払い、節約されたガスを貯蔵に回す仕組みとなる見通し。電力市場では既に、需給のバランス確保に向け同様の制度が導入されている。
ロシアからドイツへのガス供給は既に滞りがちとなっている。ロシアの天然ガス世界最大手ガスプロムは16日、ロシアとドイツをバルト海経由で結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム1」によるガス供給量を約40%削減すると発表。5月には、ドイツが一時国有化した元子会社のガスプロム・ゲルマニアへのガス供給を制限していた。
ハーベック氏はこの日の声明で、「事態は深刻」とコメント。「ガス消費量を減らし、貯蔵量を増やさなければ、冬場は非常に厳しくなる」と話している。[環境ニュース]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。