ドイツ政府は6日、再生可能エネルギーの展開促進に向けた包括法案を閣議決定した。電力部門の法的枠組みを刷新する内容で、過去数十年で最大のエネルギー政策の見直しとなる。政府はこの中で、2030年までに再生可能エネルギーのシェアを80%に高める新目標を打ち出している。
ハーベック副首相兼経済・気候保護相は包括法案について「ドイツのエネルギー安全保障とエネルギー主権の確立に向けた環境を整えると同時に、気候中立への土台となるもの」と説明。気候変動危機やロシアのウクライナ侵攻により、化石燃料の段階的廃止の重要性が一段と高まったとしている。
包括法案は、各種エネルギー関連法を改正するもの。再生可能エネルギー法の改正案には、30年までに再生可能エネルギーが総消費電力量に占める比率を現在の約2倍の80%に引き上げ、35年には電力部門の炭素中立を実現する目標が盛り込まれている。また、再生可能エネルギーを「最優先されるべき公益」と法的に規定。これにより、陸上風力発電などの新規プロジェクトの承認が迅速化される見通しだ。
陸上風力発電プロジェクトの入札の設置容量は25年までに4倍に拡大し、将来的に最大で年10ギガワットに引き上げる。太陽光発電は、現在の年6ギガワットから26年には22ギガワットに拡大し、少なくとも35年までこの水準を維持する。小規模風力発電や屋上型太陽光発電は、それぞれ最大18メガワット、6メガワットまで入札の対象外とするほか、屋上型太陽光発電の電力買い取り料を引き上げる。
洋上風力発電法の改正案では、設置容量を30年までに30ギガワット、35年までに40ギガワット、45年までに70ギガワットとする目標を打ち出している。洋上風力発電も「最優先されるべき公益」と規定し、これにより環境保護海域での建設が可能になる。
包括法案にはこのほか、消費者をエネルギー価格高騰から保護するための新ルールや、ドイツ連邦ネットワーク庁(BNetzA)の監督権限を強化する案なども含まれている。[環境ニュース]
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