ドイツのベーアボック外相は17日、ウクライナの首都キエフを訪問し、同国のゼレンスキー大統領およびクレバ外相と会談する。18日にはモスクワでロシアのラブロフ外相と会談する予定。ロシアがウクライナ国境付近で軍備を増強する中、両国間の緊張緩和を図る。
ベーアボック外相は今回の両国歴訪により、「外交経路を通じて解決策を見いだす意欲を確認したい」とコメント。特に、フランスを交えた4カ国によるノルマンディーフォーマットの会合の再開と、2015年に結ばれた停戦合意「ミンスク合意」の実施に向けた進展を目指すとしている。
ノルマンディーフォーマットの4カ国会合は、クリミア危機およびウクライナ東部紛争の解決を目指すもので、14年に第2次世界大戦中のドイツ占領下の欧州北西地域への侵攻作戦「ノルマンディー上陸作戦」の70周年記念式典と合わせて開始されたが、19年を最後に中断されたままとなっている。
欧州連合(EU)政策専門サイトのユーラクティブによると、ドイツとフランスの外交官はこれの再開に向け、1月上旬にロシアを訪問。ロシアとウクライナの高官らも会合再開に意欲を示しているという。ドイツ政府の副報道官は今回、ノルマンディーフォーマットの4カ国会合の「常設化と継続を慎重に楽観視している」とコメントしている。
なお、ドイツとロシアの間では、ロシア産天然ガスをバルト海経由で欧州に輸送する新パイプライン「ノルドストリーム2」の建設承認も懸案事項となっている。ドイツの新連立政権内では、ショルツ首相が所属する第1党の中道左派・社会民主党(SPD)が同プロジェクトを支持し、ウクライナ問題との線引きを目指す一方、ベーアボック外相が共同党首を務める環境政党・緑の党は、ロシアがウクライナに侵攻すれば同プロジェクトは停止するべきとの立場をとる。
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