ドイツの連邦議会(下院、定数709)は8日、9月の議会選挙で第1党となった中道左派・社会民主党(SPD)のオラフ・ショルツ氏(63)を首相に選出した。SPDからの首相輩出は16年ぶりとなる。連邦議会はこの後、SPDと環境政党・緑の党、リベラル派の自由民主党(FDP)から成る3党連立の新内閣を承認し、新政権が正式に発足。16年にわたり首相を務めたメルケル氏は退任し、政界を退いた。
連邦議会はこの日、395対303の賛成多数でショルツ氏を首相として選出。同氏はその後、大統領府でシュタインマイヤー大統領により新首相に任命され、議会で就任を宣誓した。議会ではこれに続き、3党連立内閣の名簿が承認され、新閣僚の就任宣誓が行われた。
新内閣では、要職の財務相ポストをFDPのリントナー党首が確保。緑の党からはハベック共同党首が副首相兼経済問題・気候保護相に、ベーアボック共同党首が外相にそれぞれ就任した。SPDからは、ヘッセン州支部を率いていたナンシー・フェーザー州議会議員が初の女性内相に抜てきされたほか、ランブレヒト前法務・消費者保護相が国防相に就任。新型コロナウイルス対策に当たる保健相には、国民に人気の高い伝染病専門家のカール・ローダーバッハ氏が起用された。
これらの閣僚を含めて、SPDからは計7人、緑の党からは計5人、FDPからは計4人が入閣している。また、閣僚16人のうち半数の8人を女性が占める。
新政権は気候変動対策や福祉政策、デジタル化に軸足を置くが、当面は新型コロナウイルス対策が最大の課題となる。また、ロシアや中国との関係では、政治より経済を優先し時に批判を浴びたメルケル氏の方針が受け継がれるかどうかが注目される。
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