英バス事業大手ファースト・バスは、英国のエネルギー新興企業オクトパス・エナジー、日立製作所の地域統括会社、日立ヨーロッパと提携し、グラスゴーを中心にバスの電動化や充電設備の拡充などに取り組んでいる。同地で開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の期間中は、同社のバスステーション「カレドニア・デポ」を一般に開放。バスの電動化に向けた取り組みや、内燃機関(ICE)車が環境に与える影響などを紹介する展示ブースを設けているほか、電気自動車(EV)の所有者は同社の高速充電器を無料で使用できるようになっている。(水野公樹)
展示ブースでは、訪れた人がお互いの意見を交換できるようにカフェを併設。ブルガリアのスタートアップのカップフィー(Cupffee)が開発した食べられるカップに注がれたコーヒーを飲みながら、ゼロエミッション化への理解を深めることができる。その隣では、仮想現実(VR)体験を通じて、バスの電動化に向けたファースト・バスの取り組みなども紹介している。
さらにCOP26の期間中は、デポ内にある22基のEV高速充電器を無料で開放している。一般的なEVであれば約30分でフル充電が可能という。
ファースト・バスは2035年までに炭素排出量の実質ゼロ化を掲げており、22年12月からはディーゼルエンジン車の購入を取りやめる。グラスゴーでは、23年3月までに計148台の電気バスを投入する予定で、これにより、現地で運行するバスのおよそ半数が電動化される見通し。同社は今後、カレドニア・デポの敷地内で最大300台の電気バスを充電できるよう設備拡充を行い、英国最大のEV充電ハブ化を目指す。
同社の電気バスは、グラスゴー市内中心部に加え、COP26の会場間の移動にも使用されている。非常に静かな運行が特徴で、内部にはスマートフォンなどを充電できるポートも用意されている。
ファースト・バスで車両のゼロエミッション化を担当するロバート・バーンズさんは「単にサービスを提供するだけでなく、ゼロエミッション化を支援する機会を提供し、全ての人を巻き込んでいきたい」と熱く語った。
■日立も電動化の加速に協力
日立ヨーロッパは、ファースト・バスにEV用バッテリーやEV充電設備の管理ソフトウエア、再生可能エネルギー由来のバッテリーエネルギー貯蔵ソリューションなどを提供する。同社で車両の電動化を統括するマイク・ニューゲントさんは、車両の電動化だけではなく、使用する電力のグリーン化も加速させたいと意気込む。
さらに、電動化の規模をさらに拡大・加速させ、ファースト・バスの炭素中立化に向けた目標を「30年まで」に早めるよう提言も行っているという。「現在の政府からの支援は一拠点を対象にしているため、今後はこれをさらにスケールアップさせることが最もチャレンジングな課題だ」と勢いよく話してくれた。[日本企業の動向][環境ニュース]
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