英政府は19日、排出量の実質ゼロ化達成とグリーン経済の成長に向けた世界投資サミットをロンドンで開催した。風力発電やゼロ排出倉庫など計18件のプロジェクトに、民間各社が総額97億ポンドを投資することで合意した。これにより、計3万人の雇用が創出される見通し。
スペインの電力大手イベルドローラは英子会社スコティッシュ・パワーを通じて、イングランド東部サフォーク州沖の風力発電プロジェクト「イースト・アングリア・ハブ」に60億ポンドを投資する計画。7,000人の雇用創出が見込まれている。2026年に完全稼働し、270万戸超の電力需要を賄うことを目指すが、着工までには建設計画の承認や政府補助金の契約締結などハードルも残る。
米国の産業不動産プロロジス(Prologis)は、向こう3年に15億ポンドを投じて、ロンドンやイングランド南東部および中部にゼロ排出倉庫を展開する。これにより、1万4,000人の雇用が創出される見通し。
米国の投資会社コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)傘下の廃棄物処理業者ビリドー(Viridor)は、英国内に保有する廃棄物処理施設5カ所に10億ポンドを投じて、最新の脱炭素化技術を導入する。これにより、英国の廃棄物処理施設における化石燃料による排出量を90%削減するとともに、1,180人の雇用を生み出せる見通し。
英国のピアツーピア(P2P)金融事業者ゾーパ(Zopa)は、ソフトバンク・グループのソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)などから調達した2億2,000万ポンドを投じて、英国でサステナブル・ファイナンス(持続可能な金融)事業を展開する。このほか日本勢では、住友商事がベンチャー投資会社プレシディオ・ベンチャーズ・ヨーロッパを設立し、エネルギーおよびモビリティー分野への投資に注力する計画だ。
■ゲイツ氏とグリーン投資で提携
ジョンソン首相は同投資サミットで、米マイクロソフトの会長であるビル・ゲイツ氏と共同で英国のグリーン技術に4億ポンドを投資すると発表した。ゲイツ氏が創設した官民パートナーシップ(PPP)投資ネットワーク「ブレイクスルー・エナジー・カタリスト」と政府が向こう10年にそれぞれ2億ポンドを投資する。
投資対象分野は、水素やエネルギーの長期貯蔵、持続可能な航空燃料(SAF)、大気中の二酸化炭素(CO2)の直接回収など。政府が既に総額2億ポンドの投資を決めているプロジェクトに、同額の民間投資を誘致する狙い。[環境ニュース][日本企業の動向]
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