英国で、新型コロナウイルス対策の影響で一時帰休となった従業員の賃金を補助する「コロナウイルス雇用維持制度」が、9月30日で終了した。シンクタンクのレゾリューション基金によると、終了時点で約100万人が依然としてこの制度を利用している。そのため、従業員を抱えきれない企業が解雇に踏み切り、失業者が増える可能性がある。
政府が昨年3月に同制度を導入して以来、これまでに補助を受けた従業員は約1,160万人となり、政府は680億ポンド超を負担した。スナク財務相は「打撃の大きかった企業からは支援の延長を求める声もあったが、今が終了に適した時期だ」と説明。引き続き総額4,000億ポンドの支出パッケージの一部として「雇用のための計画」を通じて、就労と雇用を支援していくと強調している。
ただ制度の終了により、旅行業界などで働き、同制度の利用を続けている人々に大きな影響が出るとみられている。このため英旅行業協会(ABTA)は政府に対して、中小企業や渡航制限が続く地域を専門とする企業を中心に、事業税の税率減免措置の延長や旅行会社向けの特別助成金などニーズに合わせた支援パッケージを求めている。
政府はまた、10月6日に福祉手当の給付制度「ユニバーサル・クレジット」の受給者に対する支給額の増額も終了させる。これは新型コロナウイルスの影響に伴う支援策として、福祉手当に週20ポンド分を増額していたもの。一時帰休者への賃金補助の終了と併せて、低所得者層への影響が懸念されている。[労務]
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