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SPDが16年ぶり第1党 連立協議は長期化も=総選挙

26日投開票されたドイツ連邦議会(下院、基本定数598)の選挙は、選挙管理委員会が発表した暫定結果によると、中道左派の社会民主党(SPD)が得票率25.7%で206議席を獲得した。メルケル首相が所属する中道右派の与党・キリスト教民主同盟(CDU)と姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)の保守連合は24.1%と196議席にとどまり、SPDが16年ぶりに第1党となる。しかし、両党の議席数の差は僅かで、次期首相が誰になるかは今後の連立協議の行方次第となるが、難航し長期化も予想されている。

党の顔として16年ぶりの勝利をもたらしたショルツ氏(写真中央、SPDのツイッターより引用)

党の顔として16年ぶりの勝利をもたらしたショルツ氏(写真中央、SPDのツイッターより引用)

今回はSPDと野党の90年連合・緑の党が得票率を伸ばした一方、CDU・CSUは過去最低の結果に沈んだ。緑の党は14.8%で118議席に拡大し、第3党に躍り出る。リベラル派の自由民主党(FDP)は11.5%で92議席、右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は10.3%で83議席、左派党は4.9%で39議席となる。選挙後の定数は735と、これまでの709から増加した。

メルケル政権時代に大連立を組んでいたSPDとCDU・CSUは、今回は大連立の可能性を否定している。ただ、単独では過半数議席に程遠いため、議会で過半数の368議席を取るためには必ず他党と連立を組む必要がある。

各党の獲得議席数を考慮すると、両党のいずれかが緑の党およびFDPと連立を組むパターンが有力視されており、この2党が「キングメーカー」として存在感を一気に高めている。各党の政党カラーの組み合わせから、SPD主導の3党連立は「信号機」連合、CDU・CSU主導の3党連立は「ジャマイカ国旗」連合と呼ばれている。

CDUの首相候補であるラシェット党首は「全力を尽くしてCDU・CSUが率いる連邦政府を樹立する」とし、反対勢力を結束できる人物こそが首相であるべきと発言した。一方、SPDの首相候補であるショルツ財務相は「結果から見て、わが党に次期政権を組む権限がある」と強気だ。

過去最高の結果となった緑の党のベーアボック共同党首は「この国は更新と気候政府を求めている」とし、「信号機」連合を希望するとの立場を示した。FDPのリントナー党首は、先に緑の党と協議してから、SPDとCDU・CSUのどちら側に付くか決めたいと話す。ただ、FDPとSPDはほぼ全ての政策で対立することから、「ジャマイカ国旗」政権の可能性はまだあると強調する。

なお、今期で退任するメルケル首相は、次期政権が定まるまでは首相職を続ける。ショルツ氏は、可能ならばクリスマス前に連立協議で合意したいとの考えを示している。


関連国・地域: ドイツ
関連業種: 政治

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