ドイツ政府は12日、2019年に施行された気候保護法の改正案を閣議決定した。同案では、温室効果ガスの排出量削減目標について30年までの目標を引き上げ、40年までの目標を明示。さらに、排出を実質ゼロとする時期を45年とし、従来の50年から前倒しすることを定めている。
現行法では30年の排出削減目標を1990年比で55%削減としていたが、改正案ではこれを65%に引き上げ、40年の削減目標を88%としている。45年の実質ゼロを達成した後、50年以降はカーボンネガティブを実現することを目指している。30年までの追加削減は、主にエネルギー部門と工業部門での削減になるという。同案では、30~40年までの各年の具体的な削減目標も定めているが、これを達成するための各部門の目標については24年に決めることになる。
シュルツェ環境相は改正案について「世代間の公平性や将来に向けた計画の確実性を高め、経済を停滞させずに再構築・現代化することで、断固たる気候変動対策を達成する」と説明。向こう数十年の枠組みを設定して国民全員に大きな課題を示すもので、今後の政策策定に影響を与えていくと述べている。
気候保護法を巡っては、ドイツ連邦憲法裁判所が4月末に一部を憲法違反とする判決を下した。判決では、同法が31年以降の温室効果ガスの排出削減目標を定めていないのは不十分であり、将来の世代の自由を侵害する恐れがあるとの見解を示していた。
政府は併せて、新たな削減目標を達成するため各部門で実施する緊急行動計画も発表した。この計画に最大80億ユーロを拠出し、建物のエネルギー基準などを強化する。将来的には、炭素価格のコストをテナントだけでなく物件所有者にも半分を負担させる方針も示した。[環境ニュース]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。