ドイツ連邦憲法裁判所は29日、2019年に施行された気候保護法の一部を憲法違反とする判決を下した。同法が31年以降の温室効果ガスの排出削減目標を定めていないのは不十分であり、将来の世代の自由を侵害する恐れがあるとしている。
気候保護法は、30年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で少なくとも55%削減するよう義務付けたほか、エネルギー、運輸、建設、農業など各部門の年間の排出上限を定めている。各目標を達成できない場合には、改善する義務が生じる。
しかし若者や環境保護活動家のグループは、同法は気候変動対策としては不十分であり、気候変動を制限していないとする批判を展開。これにより「将来的に基本的人権が侵害される」と主張して憲法裁に提訴していた。この訴えでは、若者たちが政府に温暖化対策を訴える活動「未来のための金曜日(Fridays For The Future)」や「ドイツ地球の友」などの環境保護団体も原告を支援していた。
判決では、政府は気候変動から国民を守る義務には違反していないものの、さらなる排出削減の詳細な工程を定めていないと指摘。現在の措置は「排出削減の大きな負担を不可逆的に31年以降に先送りするもので、原告の自由を侵害している」と判断した。このため政府に対して、31年以降の明確な排出削減目標を22年末までに設定するよう求めている。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。