ジョンソン英首相の最側近である上級顧問のドミニク・カミングス氏が、年内に辞任するもようだ。同氏は今年初めに、年内に辞任する意向を表明しており、その気持ちに変わりはないとしている。一方で関係者らの間では、ここ数日の首相官邸内での権力闘争に起因するとの見方もある。BBC電子版などが13日伝えた。
カミングス氏は英国の欧州連合(EU)離脱を巡る2016年の国民投票時に、EU離脱派のキャンペーンの参謀を務めたことで、ジョンソン政権誕生時に登用された。ブレグジットの影の立役者ともされる。直近では今年3月末に、新型コロナウイルス感染の疑いで自主隔離中であるにもかかわらず、家族と共に長距離移動したとして批判を浴び、首相官邸で異例の釈明会見を開き注目を集めた。
首相官邸関係者によると、カミングス氏はクリスマスまでに辞任する予定だという。辞任を決めたのは、そうしなければ解任される可能性があるためともされる。専門家は、同氏が首相官邸を離れることが多くの与党・保守党議員にとって、リセットのチャンスであることは確かだと指摘する。閣僚の一人はこれを「福音」と表現した。
カミングス氏の辞任を巡っては、同じく首相側近のリー・ケイン氏がこの前日に辞任を発表したことが関係しているとの見方もある。ケイン氏とカミングス氏は、イングランドでの2度目のロックダウン(都市封鎖)導入計画を外部に漏えいしたとされる。両氏はこれを否定しているが、ジョンソン首相の逆鱗(げきりん)に触れ、同首相はケイン氏の昇進を拒んだという。ケイン氏はこの直後に辞任の意向を表明している。
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