英・欧州連合(EU)間の金融サービス部門の将来的な関係を巡る交渉が6月30日の期限までにまとまらなかったことを巡り、EUのバルニエ首席交渉官はこの日の演説で、英国の提案は「受け入れられない」との考えを示した。英・EUの金融機関に対し、ブレグジット後の移行期間が終了する12月31日以降の「大きな変化」に備えるよう警告している。
バルニエ氏はこの日、欧州の金融業界団体ユーロフィ(Eurofi)での演説で、英国が英金融機関の上級管理職にEU市民と同等の移動の自由を与えるよう求めていることを明らかにした。同氏はこれについて、「EUの単一市場の義務を果たさず恩恵だけを享受することはできない」と指摘。EU加盟各国や欧州議会がこれを受け入れる見込みは「全くない」と話した。
また、英国の金融機関がEUの金融市場にアクセスするためには、EU側が英国の金融規制がEUと同等だと評価する必要があるが、英国がこれを共同で評価する枠組みを求めている点も問題視。「EUの一方的な決定権を、共同管理による決定にすり替えようとしている」と批判した。
金融規制の同等性評価制度では、保険事業や商業銀行の預金・融資業務などが対象外となっており、こうした事業はEU域内での拠点設立または各国当局からの事業免許取得を義務付けられることになる。これについてバルニエ氏は、「我々が規制の同等性を認めるのは、EUのためになる分野のみ」と強調。「域内の金融安定性や投資家および消費者の利益」を重視するとしている。[EU規制]
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