経営危機に陥っていた英地域航空フライビーが5日、管財人の管理下に入ったと発表した。全路線の運航を即時停止し、予約客には代替便が手配できない限り空港に向かわないよう要請している。英政府から最高1億ポンドの融資を巡る交渉がまとまらなかったことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大による需要減が追い打ちをかけた。
同社は報道各社への声明で「欧州最大の独立系地域航空会社である当社は、資金繰りの深刻な問題を克服できなかった」と説明。「ここ数日の新型コロナウイルスの感染拡大が需要に大きく響き、状況を悪化させた」としている。また、シャップス運輸相は「政府はできる限りのことをした」とした上で、「新型コロナウイルスを巡る状況の進展を受け、既に弱体化していた同社の存続は不可能になった」と話している。
フライビーは2018年、不安定な為替相場や燃料コストの高騰、ブレグジットを巡る先行き不透明感などを背景に、経営が悪化。2019年1月には、航空大手ヴァージンアトランティック航空など3社のコンソーシアム「コネクト・エアウェイズ」への身売りで合意し、同コンソーシアムから1億ポンドの再建資金を得て、今年後半に「ヴァージン・コネクト」として再スタートを切ることが決まっていた。
しかし、その後に再び破綻の危機に陥ったため、政府に救済を要請。1月には政府が1億ポンドの支援を行う一方、コネクトも3,000万ポンドを追加注入する救済策がまとまっていた。政府は当初、1億ポンド超相当の航空旅客税の支払いを延期する方針だったが、これには英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とスペインのイベリア航空を運営するインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が、欧州連合(EU)の国家補助法に違反するとして強く反発。またフィナンシャル・タイムズによると、有利子での融資も検討されたが、フライビーが政府の定めた条件を満たさなかったため、実行されなかった。
フライビーの破綻により、従業員約2,000人が失職する恐れがある。同社はロンドンを除く英国国内路線の半分以上を運営している。
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