メルケル首相が所属する中道右派の与党・キリスト教民主同盟(CDU)のクランプカレンバウアー党首は10日、年内に辞任する方針を明らかにした。来年秋に控える連邦議会選挙に向けて次期首相候補となることも断念する。
それによると、クランプカレンバウアー氏は党首と首相候補は同一人物であるべきだとした上で、首相候補の選出作業を進める一方で引き続き党の将来に向けて尽力する考えを示した。同氏は国防相にはとどまることを望んでいる。新党首は12月の党大会までには決まる見通し。
辞任の理由の一つに、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」や左翼党とCDUとの不透明な関係が問題視されていることがある。クランプカレンバウアー氏はこれまで、AfDや左翼党との協力には反対する立場を明確にしてきた。
ただ、2月初めに行われた独中部チューリンゲン州の州首相選出で、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」などから票を集めた自由民主党のケメリヒ氏が現職に僅差で勝利。この投票では、同州のCDUもクランプカレンバウアー氏の意向に反してAfDと歩調を合わせ、ケメリヒ氏に投票している。ケメリヒ氏は極右の支持を受けたことが社会的に大きな批判を巻き起こし、最終的には辞任に追い込まれたが、同時にクランプカレンバウアー氏の党首として求心力低下が鮮明になった。
クランプカレンバウアー氏はメルケル首相の後任として2018年末に党首に就任。次期首相候補として有力視されていた。ただ、失言が続いて人気が低落していることに加え、昨年の欧州議会選挙や州議会選では議席を失うなど振るわず、党首としての手腕を疑問視する声が出ている。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。