英中銀イングランド銀行は29日に開いた金融政策委員会(MPC)で、政策金利を0.75%に据え置くことを決めた。金融資産購入による量的緩和策の規模についても、4,350億ポンドで維持している。市場では、英国の欧州連合(EU)離脱を目前に控え、カーニー総裁が任期最後の会合で引き下げに踏み切るとの見方も出ていた。
30日に公表された議事録によると、据え置きを支持したのは委員9人のうち7人。ジョナサン・ハスケル委員とマイケル・ソーンダーズ委員は、前回に続き0.25ポイントの利下げを主張した。
カーニー総裁は1月上旬の演説で、経済不振が続けば中銀は「直ちに」行動に移す準備があると発言。その後、昨年12月まで据え置きを支持していたMPCの委員2人も、経済データが改善しなければ利下げに票を投じると示唆したため、市場では五分五分の可能性で中銀が利下げに踏み切るとみていた。
中銀は今回、昨年第4四半期(10~12月)の国内総生産(GDP)は横ばいにとどまったとの見方を示した。ただ、その後は米中貿易摩擦の懸念が部分的に和らいだことを受けて世界経済の見通しが改善しているほか、総選挙の結果によりEU離脱を巡る不透明感もやや弱まったと指摘。英国の総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が前月から大きく上昇するなど、景況感も上向いていることから、GDPは今年第1四半期には0.2%のプラスを確保するとの見通しを示した。
中銀は今後について、こうした「プラスの兆候が長続きしない場合や、物価がなお伸び悩む場合には、金融政策により回復を促す必要がある」とする一方、「予想通りに経済が回復すれば、一定の金融引き締めが必要になる可能性もある」としている。
カーニー総裁は3月15日付での退任が決まっており、今回が最後のMPCとなる。後任には元副総裁で、現在は英金融行為規制機構(FCA)のトップを務めるアンドリュー・ベイリー氏が就く。
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