ドイツのシュルツェ環境・原子力安全相は22日、国際的な脱石炭同盟の「パワリング・パスト・コール同盟(PPCA)」に加盟したと発表した。気候変動対策を求める学生デモなどが行われ、世界的に脱石炭の機運が高まる中、独政府は遅くとも2038年までに全ての石炭火力発電所を閉鎖する方針を掲げている。
この同盟は2017年11月、英国とカナダ、マーシャル諸島が世界各国に呼び掛けて実現した。世界の気温の上昇幅を2度未満に抑えるとともに1.5度未満に近づけるという、地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」の目標を達成するためには、先進国で2030年までに、その他の国でも2050年までに石炭の使用を段階的に停止する必要があると訴える。加盟メンバーは各国の政府や企業など91団体に上る。
ドイツは欧州最大、世界では5番目に石炭火力発電の利用が多い国。シュルツェ環境・原子力安全相は「脱石炭は世界的な気候保護の中核となる取り組み」と指摘。「ドイツのような工業国が石炭と原子力から脱却し、再生可能エネルギーによるエネルギー供給に移行していくことで、世界各国に力強いメッセージを発信できる」と意気込んでいる。
独政府はこれに先立ち、2030年までの気候変動対策パッケージを発表。二酸化炭素(CO2)排出量削減のインセンティブやCO2価格の設定、将来的な規則の厳格化などが盛り込まれている。
またこの日、スロバキアもPPCAに加盟。中東欧諸国では初となる。同国のチャプトバ大統領は2023年までに石炭火力発電と石炭採掘を全面的に廃止する方針を掲げている。[環境ニュース]
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