インドの自動車大手タタ・モーターズ傘下の英高級車メーカー、ジャガー・ランドローバー(JLR)は5日、バーミンガム近郊のカッスルブロムウィッチ(Castle Bromwich)工場に数億ポンドを投資して、「ジャガー」の各モデルの電気自動車(EV)を生産する計画を明らかにした。これにより2,700人の雇用が確保される見通し。BBC電子版などが伝えた。
具体的な投資額は明らかにされていないが、フィナンシャルタイムズは10億ポンド近くと報じている。JLRはまず、同工場でジャガーの高級サルーン「XJ」の完全EV版を組み立てる。発売時期は明らかにされていない。同工場では現在、同モデルのほかに「XF」「XE」「Fタイプ」を組み立てており、これらのモデルの生産は今後も継続する。
完全EV版「XJ」のバッテリーパックは、2020年に稼働を開始するバーミンガム近郊ハムズホール(Hams Hall)の新バッテリー工場から、電気部品は中部ウエストミッドランズ州ウルバーハンプトン(Wolverhampton)のエンジン工場から、それぞれ調達する。ただ、バッテリーセルはアジアからの輸入となるため、同社のラルフ・スペッツ最高経営責任者(CEO)は政府に対し、官民の協力によるバッテリーの「ギガファクトリー」の創設を呼び掛けている。
なお、JLRは2018年に1,500人を削減し、今年1月には英国を中心にさらに4,500人を整理すると発表。コスト削減計画やディーゼル車需要の低迷に加え、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る懸念が理由としていた。同社はかねて、合意なきEU離脱になれば英国での投資が脅かされると警告している。それにもかかわらず、英国で新たな投資計画を打ち出したのは、製品ライフサイクルのタイミング上、投資決定を余儀なくされたためとみられている。[環境ニュース][労務]
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