英鉄鋼会社ブリティッシュ・スチールは、22日にも管財人の管理下に入る可能性があるもようだ。同社は英政府から3,000万ポンドのつなぎ融資を得るための交渉を行っており、21日中に合意がまとまらなければ、管財人が指名される見通しという。同社はかねて、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る先行き不透明感が経営悪化の主要因と訴えており、23日に欧州議会選挙が迫る中、政府の対応に注目が集まっている。関係者の話を元に、BBC電子版が伝えた。
同社は20日、株主および債権者から当面の運転資金を確保したと伝えられているが、親会社の英投資会社グレイブル・キャピタル(Greybull Capital)に近い関係者によると、政府からのつなぎ融資が確保できなければ、同社は22日中にブリティッシュ・スチールへの支援を打ち切る方針だ。
ブリティッシュ・スチールは先に、ブレグジットに伴いEU排出権取引制度(EU―ETS)の排出枠の無償割り当てが停止されたことを受け、英政府から1億2,000万ポンドのつなぎ融資を取り付けたばかり。その後、新たに7,500万ポンドの融資を要請したものの、政府がこれを却下したため、現在はこれを3,000万ポンドに引き下げて交渉している。
政府はこの件について、「鉄鋼産業の支援に向け、法律が厳密に許す範囲内であらゆる方策を検討する」としている。一方、最大野党・労働党はつなぎ融資で合意できなければ、ブリティッシュ・スティールを国有化するべき」と訴えている。
ブリティッシュ・スチールは国内2位の鉄鋼会社。従業員4,500人を抱え、同社が破綻すればサプライチェーンを含めて2万人の雇用が失われる恐れがある。同社は2016年6月の国民投票で英国のEU離脱が決まって以来、ポンド安と先行き不透明感による需要減退を背景に経営が悪化。また、最近は米中間の貿易摩擦のあおりも受けていた。[労務][EU規制][環境ニュース]
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