ホンダは19日、イングランド南部のスウィンドン工場での車両生産を2021年に終了すると明らかにした。世界的な電動化の動きに対応する上で、グローバル生産体制の見直しを図る取り組みの一環。一方、イングランド南東部ブラックネル(Bracknell)に構える欧州地域本社のホンダモーターヨーロッパは維持する方針だ。
スウィンドン工場は1985年の設立。ホンダの欧州唯一の生産拠点として、「シビック ハッチバック」や「シビック TYPE R(タイプアール)」などを手掛ける。従業員数は約3,500人で、ホンダは今回の決定に伴い、労使間での協議を開始したとしている。同社はまた、トルコ北西部コジャエリ(Kocaeli)県に擁する現地法人ホンダターキーで行っている「シビック セダン」の生産も、2021年中に終了する意向を示した。
ホンダの八郷隆弘社長は今回の動きについて、欧州では電動車ラインアップの強化が必要とみる一方、「欧州域内での電動車生産は競争力などの観点で難しいと判断した」と説明。欧州向けは環境規制の方向性が近い中国と商品ラインアップを共有するなど、戦略的に電動化を含めた事業基盤の強化を図るとしている。また、スウィンドン工場からは「シビック ハッチバック」を輸出しているが、次期モデルからは北米など他地域で生産する方向で検討しているようだ。
同社は1月、英国の欧州連合(EU)離脱で起こり得る影響に備えるため、スウィンドン工場の操業を4月に6日間停止すると発表。可能性のある全ての結果に適応するためで、操業停止措置は「部品の国境での遅延に伴う生産の回復を容易にする」と述べていた。
大手自動車メーカーの英国での生産を巡っては、インドの自動車大手タタ・モーターズ傘下の英高級車メーカー、ジャガー・ランドローバー(JLR)が1月、ブレグジットに伴う混乱を避けるため、英国内の工場で4月8~12日に生産を停止する方針を明らかにした。独高級車大手BMWはブレグジットに合わせて英オックスフォード工場でメンテナンスによる生産停止期間を設けることを決めているほか、トヨタ自動車も合意なき離脱による英国工場の一時操業停止について警告している。日産自動車は、英イングランド北東部のサンダーランド工場で計画していたスポーツタイプ多目的車(SUV)「エクストレイル」の欧州市場向け新モデルの生産を取りやめると発表。事業上の理由としたが、英国のEU離脱後の在り方が依然として不透明な現状に苦言を呈している。[日本企業の動向]
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