日産自動車は3日、英イングランド北東部のサンダーランド工場で計画していたスポーツタイプ多目的車(SUV)「エクストレイル」の欧州市場向け新モデルの生産を取りやめると発表した。グローバル生産拠点である九州の工場に集約する。日産はこの動きについて、事業上の理由としたが、英国の欧州連合(EU)離脱後の在り方が依然として不透明な現状に苦言を呈している。
日産はカルロス・ゴーン前最高経営責任者(CEO)時代の2016年10月、英政府がEU離脱後も同工場の競争力を維持すると確約したことを受け、次期型「エクストレイル」の生産をサンダーランド工場で行う方針を示した。それ以降、同社は将来の欧州モデルに搭載する新型パワートレインや技術開発への投資を増やしており、今回、欧州事業に対する投資の適正化に向け、従来の生産地である九州での生産を決定したとしている。
サンダーランド工場は1986年に操業を開始。英国の自動車生産台数の約3分の1を占める国内最大の自動車工場で、生産車両の大半を欧州大陸に輸出している。従業員数は約7,000人で、SUV「キャシュカイ(日本名:デュアリス)」や「ジューク」のほか、電気自動車(EV)「リーフ」などを生産している。
日産は今回、同工場での「キャシュカイ」と「ジューク」の新モデル組み立て計画に変更はなく、これに向けて新たな塗装工場や大型プレス機を新設していると強調した。BBC電子版によると、今回の決定に伴う人員整理は行わないもようだ。
大手自動車メーカーの英国での生産を巡っては、インドの自動車大手タタ・モーターズ傘下の英高級車メーカー、ジャガー・ランドローバー(JLR)が1月、ブレグジットに伴う混乱を避けるため、英国内の工場で4月8~12日に生産を停止する方針を明らかにした。ホンダも、イングランド南部のスウィンドン工場の操業を4月に6日間停止すると発表。独高級車大手BMWはブレグジットに合わせて英オックスフォード工場でメンテナンスによる生産停止期間を設けることを決めているほか、トヨタ自動車も合意なき離脱による英国工場の一時操業停止について警告している。[日本企業の動向]
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