日本自動車工業会の会長を務めるトヨタ自動車の豊田章男社長は19日、英国が合意なしに欧州連合(EU)を離脱する可能性が高まっていることへの懸念を表明した。もしそうなれば会員企業が生産活動を停止したり、販売価格を見直す事態もあり得るとし、「合意なき離脱」の回避を訴えた。
豊田章男社長は、英国とEUが当初、交渉期限とされていた10月に合意に至らなかったことを受け、「合意なき離脱」が現実味を帯びてきていると指摘。英・EU間で離脱条件を巡る合意がまとまらず、移行期間もなくなった場合、コスト削減に向け部品の在庫を持たないジャストインタイム方式に支障をきたし、生産活動の停止や、物流・生産コスト増による事業収益の悪化、販売価格の見直しにつながると予想。企業活動や顧客に甚大な影響が及ぶと警告している。
「合意なき離脱」の可能性を巡っては、欧州自動車工業会(ACEA)も回避に努めるよう英・EU双方に訴えている。ACEAは、ブレグジット後に通関手続きの所要時間が少しでも増えれば、物流面で多大な問題が生じ生産に支障をきたすと共に、膨大なコストが発生すると指摘。また、世界貿易機関(WTO)ルールに基づき10%の関税が課されれば、販売価格に上乗せするかメーカーが吸収するしかないが、自動車業界の利益率は現時点でも10%を大きく下回っていると指摘している。[日本企業の動向][EU規制]
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