航空宇宙関連の国際見本市「ファーンバラ航空ショー」が16日、ロンドン近郊のファーンバラ空港で開幕した。今年は三菱重工業傘下の三菱航空機(名古屋市)が初日に小型旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」のデモ飛行を実施。例年通り、米航空機大手ボーイングや欧州航空・防衛最大手エアバス・グループの受注合戦も期待される。
MRJは空港を離陸し、急上昇や周回飛行など約8分間のデモ飛行を成功させた。三菱重工業の宮永俊一取締役社長兼最高経営責任者(CEO)は、他社のリージョナルジェットは座席数が100席以上と、同社の機体よりも多いことを指摘。MRJの市場競争力に自信を示し、「差別化で市場でのシェアを確保したい」と意気込んだ。会場では、MRJのローンチカスタマーである全日本空輸(ANA)の伊東裕取締役常務執行役員、三菱航空機の水谷久和取締役社長もデモ飛行を見守った。
また、開幕初日はメイ英首相が会場でスピーチ。英国企業や同国の生産拠点による航空業界への貢献事例を列挙し、「摩擦のない無関税貿易を実現する」と強調している。
英航空エンジン大手ロールス・ロイスは今回、電動の垂直離着陸機(EVTOL)のコンセプト機を初公開。この「空飛ぶ電動タクシー」は4~5人乗りで、既存の技術と開発中の技術が組み込まれ、2020年代初頭にも完成する予定だ。現時点のコンセプトはガスタービン技術で発電して騒音の少ない電動プロペラ6基を回し、蓄電池を搭載するハイブリッド方式。最高時速は約400キロメートルで、航続距離は約800キロメートルを誇る。「空飛ぶタクシー」を巡っては、エアバスや米配車ウーバーなど大手から独ボロコプター(Volocopter)といった新興企業まで、各社が開発競争を繰り広げている。
受注合戦では、エアバスがある航空機リース会社から中距離向け旅客機「A320neo」80機を受注。他にも、インドの航空会社ビスタラと50機、クウェートのワタニヤ航空とは25機の契約を締結した。一方、ボーイングは米航空機リース会社ジャクソン・スクエア・アビエーションから新型小型機「737MAX」30機を受注。他にも独郵便・物流大手ドイツポストDHLなどから契約を獲得している。
「ファーンバラ航空ショー」は「パリ航空ショー」と1年おきに開催される。前回2016年は52カ国から約1,500人が参加。英国の欧州連合(EU)離脱決定などが影響し、商談の総額は1,240億ドルと過去最高だった2014年の2,040億ドルを大きく下回ったが、今年もEU離脱を巡る不透明感が懸念されている。会期は22日まで。[日本企業の動向][環境ニュース]
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