欧州銀行監督機構(EBA)は25日、英国が欧州連合(EU)との合意なしにEUを離脱した場合への金融機関の準備が「不十分」との見方を明らかにした。離脱条約を巡る合意がまとまらず、その一部として提案されている制度激変を避けるための移行期間も設けられない可能性があるとして、早急な準備を促している。
英国は2019年3月29日にEUを離脱することが決まっている。EUと英国は今年3月、これに向けた離脱条約案の大枠で合意。この中で、2020年12月末までを移行期間とすることも決めた。ただ同条約を巡っては、アイルランドと英領北アイルランドの国境問題などいまだに決着がついていない部分も多い。
EBAは今回、「移行期間に関する大筋での合意は歓迎すべきものだが、離脱条約が批准されるまでは何ら法的な確実性はない」と指摘。同条約が成立しない可能性も実際にあると警告し、「その場合に必要な影響軽減のための措置には時間がかかるため、直ちにその準備を進めるべき」と促した。
英国を拠点とする金融機関は現在、EUでの拠点開設や事業拡大に向けた認可の申請手続きを行っている。EBAは、各行ともブレグジットの翌日から新拠点でリスクを管理できるよう、十分な数の人員を確保する必要があるとしている。こうしたコストは英国のEU離脱の結果として不可避であり、その節約により金融安定性が脅かされることがあってはならないと訴える。
なお、EBA自体もブレグジットに伴い、ロンドンからパリに移転する予定となっている。EBAはEUの金融安定性を確保するために2011年に設置。域内銀行のストレステスト(健全性審査)を手掛ける。[EU規制][労務]
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