ドイツを代表する5つの経済研究所は19日発表した春季合同経済予測の中で、今年の国内総生産(GDP)成長率の見通しを9月時点の2%から2.2%に引き上げた。ドイツ経済はなお活況にあるとし、2019年の成長率見通しも前回の1.8%から2%に上方修正している。
合同経済予測は、連邦経済技術省の委託により春と秋の年2回発表される。今回の予測は、Ifo経済研究所、RWI経済研究所、ドイツ経済研究所(DIW)、ハレ経済研究所(IWH)、キール世界経済研究所(IfW)の5つの研究所が合同でまとめた。
それによると、国内経済は余剰生産能力の縮小に伴い、成長の余地が少なくなっている。ただ、世界経済の好調により今後も輸出が促されるほか、労働市場の異例の好調を背景に内需も力強く伸び続けるため、依然として高成長が続くとみている。
失業率は昨年の5.7%から今年は5.2%、来年は4.8%へと改善するが、労働力不足が足かせとなると予想。インフレ率は昨年の1.8%から今年は1.7%へとやや減速するが、来年は1.9%に加速するとみる。今年の財政黒字は378億ユーロと、減税や公共支出の増加にもかかわらず、昨年の366億ユーロからやや増加する見通し。ただ、来年には347億ユーロに縮小するとみている。一方、経常黒字は対GDP比で今年は8.2%、来年は8%となり、欧州連合(EU)が推奨する上限の6%を引き続き上回る見通しだ。
報告書は、トランプ米大統領が先に鉄鋼・アルミニウム輸入に高関税を課す方針を示したことについて、保護主義への接近を示すものと指摘。主要供給国への実際の適用はなかったものの、景況感を悪化させる恐れがあるとし、貿易紛争がエスカレートすれば下降リスクになるとみている。[労務]
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