ドイツ連邦議会(下院)は14日、メルケル首相の4期目再選を364対315の賛成多数で承認した。今回は首相自身の立ち位置が弱い不安定な連立政権を率いることとなり、これまでで最も厳しい任期となることが予想されている。ロイター通信などが伝えた。
信任投票では最低過半数を11票上回る賛成票を得たが、メルケル首相率いる第1党の中道右派キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と連立を組む中道左派の社会民主党(SPD)を合わせた399票には35票足りておらず、やや出鼻をくじかれた格好での船出となった。
メルケル首相は「投票結果を受け入れる」と述べ、議場からのスタンディングオベーションの中、花束を受け取った。傍聴席では夫や89歳の母親が投票の様子を見守った。同首相はその後、ドイツ連邦大統領官邸であるベルビュー宮殿でシュタインマイヤー大統領から正式に任命を受けた。
メルケル首相は2005年の初就任以降、ドイツの政治を支配し、欧州連合(EU)においても経済危機の期間などを通じてかじ取り役を担ってきた。しかし、2015年以来の難民問題で難民に寛容な政策を取ったことをきっかけに国民の支持を失い、権力基盤は弱体化している。
昨年9月の総選挙ではCDU・CSUが議席を大幅に失ったことで連立交渉が難航し、協議期間は戦後最長の171日間を記録した。メルケル首相は、国政の花形である財務相のポストをSPDに明け渡すなど大きく譲歩。SPDはこれに加え、外相と労働社会相など計6つの閣僚ポストを得ており、新政権での存在感が高まる見通しだ。なお、両者が結んだ条項には、政権発足から2年後に政策の進展具合を検証し、もし双方のいずれかに不満があれば連立を解消できる旨が盛り込まれている。
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