政府は20日夜、欧州連合(EU)の離脱交渉を巡り内閣小委員会を開き、EU拠出金の清算額を大幅に引き上げることを決めたもようだ。金額はこれまで明言していた200億ユーロの倍以上で、最大で450億ユーロとされる。各紙が報じた。
同委員会にはメイ首相やジョンソン外相など主要閣僚が参加し、難航するEU離脱交渉の打開策について話し合った。清算金の増額は、離脱交渉で最終的に合意することを条件にしている。一方、離脱後も英国に居住するEU市民の権利について欧州司法裁判所が管轄することについては、政府内でも合意に至っていないという。首相官邸は同委員会での協議後に「英国とEUは共に前進すべきである」と表明したものの、合意内容など詳細については明らかにしていない。
EUは12月14~15日に首脳会議(サミット)を開き、EU離脱交渉で進展があるかを見極めた上で、離脱後に向けた対英貿易交渉の開始の是非を決める。EUはかねて、拠出金の清算のほか英国在住のEU市民およびEU在住の英国民の権利、英・アイルランド国境問題で合意しない限り、貿易交渉には進まない方針を示している。欧州委員会のミシェル・バルニエ首席交渉官は11月初めの第6回交渉後に、拠出金の支払いを巡り立場を早急に明確にするよう求めていた。
英国が負担するEU拠出金の清算額では、EU側は600億ユーロ以上の支払いを求めているとされる。これに対してメイ首相は9月に、200億ユーロ程度を負担する方針を示していた。ただ増額については与党・保守党内で反対意見が根強く、メイ首相は慎重な対応を迫られている。[EU規制]
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