ドイツのメルケル首相は20日、同首相率いるキリスト教民主同盟・社会同盟(CDU・CSU)、自由民主党(FDP)、緑の党の3党による連立政権の樹立に向けた協議が決裂したと発表した。政策を巡る溝が埋まらず、4週間にわたる交渉の末、FDPが離脱したため。メルケル首相はこの日、シュタインマイヤー大統領と会談し、再選挙に臨む用意はあるとしている。ロイター通信などが伝えた。
FDPのクリスティアン・レントナー党首は離脱の理由について、共通のビジョンが持てなかったとし、「悪政を行なうよりは政権を担わないほうがまし」と断言。一方のメルケル首相は「首相として、向こう数週間の困難な時期も国の運営に全力を尽くす」と強調した。
CDU・CSUには緑の党と少数政権を樹立する道もあるが、ドイツの戦後史では前代未聞で、同首相はこれには懐疑的。下野する意向を示した第2党の社会民主党(SPD)は、連立協議参加の可能性をあらためて否定しているものの、一部の議員は参加に前向きな姿勢を示していると報じられている。なおシュタインマイヤー大統領は再選挙実施の判断を下す権限を持つが、まずは他党に働きかけ、多数派政権の樹立の可能性を探るもようだ。
CDU・CSUは9月25日の議会選挙で第1党の座を維持したものの、得票率は32.9%にとどまった。過半数議席を確保するため、10月にFDPおよび緑の党との連立交渉を開始したが、ビジネス寄りの政策を掲げる中道右派のFDPと、政府規制や社会問題では左派に近い緑の党の隔たりは大きく、特に移民政策や税制、環境政策などの主要政策で協議が難航していた。[環境ニュース]
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