民間シンクタンクの英財政研究所(IFS)は、政府が23日発表した秋季報告書を分析した結果、2021年の実質賃金は2008年の水準を下回るとの試算を明らかにした。10年以上経っても実質賃金が増えないのは、少なくとも「戦後最悪」の状況としている。
政府の予算責任局(OBR)は2020~21年の実質国内総生産(GDP)が3月時点の予想を300億ポンド(1.2%)下回ると予想。その結果、1世帯当たり実質GDPは1,000ポンド減るとみている。
IFSはこれに伴い生活水準の見通しも大幅に悪化したと指摘。理由として、2021年までの実質平均賃金の伸び率予測が5%未満と、従来の予測の約半分に下方修正されたことを挙げている。
一方、2014~15年にはインフレを加味した一般世帯の実質家計収入は3.4%増と大幅に拡大。その結果、平均所得はリセッション(景気後退)に先立つ2007~08年の水準を大きく上回り、2009~10年のピークをわずかに超えている。[労務]
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