北大西洋条約機構(NATO)は25日、オランダのハーグで開いた首脳会議(サミット)で、加盟国の国防費を2035年までに対国内総生産(GDP)比5%に拡大することで正式に合意した。加盟各国の負担拡大を求めるトランプ米政権の要求を受け、現行目標の2%から大幅に引き上げた。
加盟各国は35年までにNATOの定義する国防支出を対GDP比3.5%に引き上げるほか、重要インフラやネットワークの保護、技術革新、防衛産業の強化などに向けた国防関連支出を同1.5%に増やす。国防費の引き上げに抵抗していたスペインのサンチェス首相もこの目標を盛り込んだ首脳宣言に署名した。
宣言では「ロシアが欧州・大西洋の安全保障に及ぼす長期的な脅威や、執拗(しつよう)なテロの脅威をはじめとする深刻な安全保障上の脅威と課題に直面する中、同盟諸国は団結している」と強調。ただ、1年前のサミットの首脳宣言で批判したロシアのウクライナ侵攻には言及しなかった。一方、NATOの根幹である集団防衛を規定した北大西洋条約第5条については、順守する姿勢に「揺るぎはない」ことも確認した。
BBC電子版によると、トランプ氏はサミットに先立ち「第5条にはさまざまな定義がある」と懐疑的な姿勢を示していたが、会合後には「支持する」と一転。今回のサミットは「大成功だった」と述べた。
NATOのルッテ事務総長は「安全保障が脅かされた時にNATOの発揮する能力と決意を疑うべきではない」と強調。今回のサミットにより「さらに強く公正で致命的打撃力を持つ同盟の構築が始まった」としている。
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