英国のリーブス財務相は11日、向こう5年間の歳出見直し案を公表した。各省庁の支出を全体で年間2.3%引き上げ、2029/30年度までに公共サービスに1,900億ポンドを追加拠出する。国民医療制度(NHS)には年間290億ポンドを投じるほか、国防費や教育関連の予算を拡大していく方針だ。
リーブス氏は「政府は英国の刷新に取り組んでいるが、国民の多くはそれを実感できずにいる」と認め、こうした状況を変革すると述べた。
今回の歳出見直し案は、28/29年度までの支出計画と29/30年度までの公共投資計画をまとめたものとなる。目玉となる施策の一部はここ数日に発表されたが、新たに示された概要は以下の通り。
■医療・国防・教育
NHSの予算は実質年3%拡大する。中でも、テクノロジー関連とデジタルトランスフォーメーション(DX)には28/29年度までに最大100億ポンドを割り当てる予定で、25/26年度の水準から50%近く増やすことになる。
国防費は向こう5年で実質110億ポンド増額するほか、国境警備に年間2億8,000万ポンド超を投じる。警察予算は年間2.3%増やし、刑務所の増設にも総額70億ポンドを投じる。このほか、学校の新設や改修に年間45億ポンドを割り当てる。
■運輸・建設
イングランド南東部オックスフォードとケンブリッジを結ぶ鉄道路線の整備に25億ポンドを追加拠出する。住宅不足解消に向け、低価格の住宅や公営賃貸住宅の建設に向こう10年で390億ポンドを投資する。
■エネルギー関連
住宅の断熱工事やヒートポンプ設置工事の支援に総額132億ポンドを投じる。二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)事業には向こう5年で94億ポンドを振り向け、スコットランドのアバディーンでCCSプロジェクトを実施する。
■テクノロジー・企業支援・人材育成
人工知能(AI)に20億ポンド以上の追加投資を確保した。国営ブリティッシュ・ビジネス・バンク(BBB)の資金は3分の2拡大して256億ポンドとし、企業支援を強化。人材育成には年間12億ポンドを追加拠出し、特に若年層への技能訓練に注力する。[労務]
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