英政府は9日、2029年までに科学技術分野に860億ポンドを投資すると発表した。新薬開発やバッテリーの持続性向上、人工知能(AI)などの研究開発(R&D)を支援する計画で、29/30年度には科学技術分野への投資総額が225億ポンドを超えるとの見通しを示している。
860億ポンドのうち5億ポンドは、新設した「地域イノベーション・パートナーシップ基金」に拠出する。同基金はグレーターマンチェスターやリバプール地域圏などイングランドの主要7地域に加え、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの各主要地域にそれぞれ3,000万ポンドを交付するほか、対象外となる地域でもコンペを実施。各地域が強みを持つ産業クラスターを育成していく計画だ。
リバプールでは生命科学分野の研究が進んでおり、これを生かして新薬開発を促進。同様に、北アイルランドでは防衛機器、ウェールズ南部では先端半導体分野をそれぞれ後押しする。このほか、マンチェスターとケンブリッジの高成長地域間のパートナシップの立ち上げに500万ポンド近くを投じるとしている。
リーブス財務相は6月11日に支出見直し案の公表を予定しており、現在は予算カットを巡る各省庁との協議が続いている。ただ、学術界や研究機関などからは、科学分野での英国の競争力強化に向けては政府支援が必要との意見が強かった。
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