英政府は27日、職業訓練制度に過去最大規模となる30億ポンドを投じ、12万人の人材育成を進める計画を明らかにした。建設やエンジニア、介護、医療など人手不足が深刻な部門を中心に、若年層に特化して職業訓練を提供する方針で、労働市場での移民への依存低減を目指す。
「見習い制度」と呼ばれる英国の職業訓練制度では、企業に雇用され給与を受け取りながら現場で技能を習得する。16歳以上が対象で年齢に上限はないが一定の学歴が必要で、これまでは高等教育機関の学位を必要とするものが多かった。
政府は今後、中等教育の修了者の支援を強化する方針で、2026年1月からは16~21歳を対象とした求人に予算を集中させる。また、開発の遅れている地域で、義務教育を修了していれば受講が可能な建設分野の技能習得コースを無料で提供。このほかにも地方自治体が運営する建設の職業訓練コースに1,400万ポンドの補助金を給付し、最大5,000人を育成する方針だ。
政府は12日に移民政策を厳格化する方針を打ち出し、外国人労働者を雇用する企業の費用負担を32%増額することを決めたが、ここから得られる収入で最大4万5,000人の職業訓練費用を賄えるとしている。
英国では過去10年で見習い制度の下での求人が大きく減少しているほか、16~24歳の8人に1人が就業や就学をせず職業訓練も受けていない「ニート」の状態にあり、政府はてこ入れを図る。[労務]
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