英国政府は6日、インドと自由貿易協定(FTA)の締結で合意したと発表した。双方の関税の大半は10年以内にゼロとなり、2040年までに英国経済に年間48億ポンドの経済効果をもたらすと試算している。両国は投資協定の締結に向けても詰めの協議を行っている。
インド側は、化粧品や食料品などに加え、医療機器、航空機部品など英国製品の9割で関税を削減し、そのうち85%を10年で無関税とする。英国産のウイスキーとジンに対しては、発効から10年目までに現在の150%から75%に半減され、さらに40%へと引き下げる。英国車は100%から10%となる。
BBC電子版などによると、今回の協定では移民政策に変更はないが、英国は特定分野で専門性を持つインド国籍者のビザ(査証)取得を簡素化する。英国に一時滞在するインド国籍の労働者は国民保険料を3年間免除。インドに滞在する英国籍の労働者にも適用される。英国が導入を予定する炭素税の免除は含まれていないが、協議を継続するとしている。
レイノルズ・ビジネス貿易相は「世界で最も急速に成長している経済大国と新たな貿易協定を締結することで、英国経済と賃金に毎年数十億ドルの恩恵をもたらし、全国で成長を促す」と強調。その上で「世界的な不確実性が高まる中、企業と消費者に安定をもたらす国際貿易への現実的なアプローチはこれまで以上に重要だ」と述べた。
英国は22年1月、保守党政権下でインドとのFTA交渉を開始した。昨年3月までに通算14回の協議を行ったものの条件が折り合わず、両国で相次いだ総選挙により交渉が中断。今年2月から交渉を再開していた。米国政府による関税導入で影響を受ける英国の自動車産業やアルコール産業にとって大きなプラスが見込まれる。
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