大手会計事務所アーンスト&ヤング(EY)が出資するシンクタンクのアイテムクラブ(ITEM Club)は28日、英国の2025年の国内総生産(GDP)成長率は0.8%になるとの見通しを明らかにした。トランプ米政権の打ち出した関税政策とこれを受けた世界的な景気後退への懸念を背景に、2月時点の前回予測から0.2ポイント引き下げた。26年については、前回の1.6%から0.9%に下方修正している。
アイテムクラブは今回、米国が世界の大半の国に平均20%を超える関税をかけると想定して分析を行った。このシナリオでは、来年初めまでは経済活動が全般的に停滞する可能性が高い。中でも企業投資の伸びは25年に0.3%、26年は1%にとどまるとの見方を示している。いずれも前回予測の2%と1.8%から大きく引き下げた。
輸出については、関税の影響で25年は0.5%減、26年は0.4%減に沈む見通し。米国が英国への関税の基本税率を10%に据え置いた場合でも、米国と中国など他の経済大国との貿易紛争が激化すれば、世界経済の減速やサプライチェーン(供給網)のコスト増加、製品価格の上昇、外需の縮小などにつながり、この影響は免れないと説明する。
失業率は25年末までに0.5ポイント上昇して5%に達する見込みで、再び4.5%程度まで低下するのは、27年半ばになるとした。実質賃金の伸びは今年は0.9%にとどまると予想する。
インフレは今年4月に3%を超え、年内はこの水準で推移する見通し。26年には2.4%程度に減速するとみる。
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