トランプ米政権の関税に備え、英国で「守りの戦略」を取る企業が増えている。大手会計事務所デロイトが14日に発表した最新の調査結果によると、米国の不透明な貿易政策など地政学的リスクの高まりを受け、企業はコスト削減やキャッシュフローの改善に注力しているもようだ。
デロイトは2025年第1四半期(1~3月)調査として、3月18~31日に上場企業42社を含む67社の最高財務責任者(CFO)に調査を実施。トランプ大統領が相互関税の導入を発表する直前だったが、コスト削減を最優先事項に挙げた企業の割合が63%となり、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)初期に次ぐ過去2番目の水準となった。前四半期の52%から大きく上昇した。
今後の事業見通しについて悲観的と回答した割合は14%。ただ、コロナ禍の20年やウクライナ戦争が開始した22年と比べると大きく下回った。新製品の投入や新規市場への進出を優先事項とした企業は20%で、前期から5ポイント下がった。今後12カ月の採用見通しは、20年第3四半期以降で最低となっており、賃金上昇率も0.6ポイント減の3%になると予想している。
デロイトは「英国の大企業は混乱に備えている」と指摘した一方、悲観的な見通しはパンデミック期ほど広がっていないと強調した。CFOがコストや雇用に重点を置き守りの戦略を取ることは、難しい時期のビジネスでは標準的な手段としている。
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