ドイツの連邦参議院(上院、定数69)は21日の本会議で、財政規律緩和のための基本法(憲法)改正案を、賛成53票で可決した。ブランデンブルク州、ラインラント・プファルツ州、ザクセン・アンハルト州、テューリンゲン州は棄権したが、可決に必要な3分の2の賛同を得た。シュタインマイヤー大統領が署名すれば発効する。
財政規律緩和策は連立交渉を進めている中道右派・キリスト教民主同盟(CDU)と姉妹政党・キリスト教社会同盟(CSU)、中道左派・社会民主党(SPD)が打ち出した。債務規制の対象外となる総額5,000億ユーロのインフラ整備特別基金の新設や、対国内総生産(GDP)比で1%を超える防衛費を債務規制から除外することなどを盛り込み、大規模な借り入れを可能にする内容だ。
インフラ整備特別基金は、うち1,000億ユーロを気候変動対策に振り向け、さらに1,000億ユーロは各州に配分する。州政府は現在、原則的に新たな債務を負うことを禁じられているが、財政規律緩和策は、年間でGDP比0.35%までの新規借り入れを認める。
参議院は各州政府が送り込んだ代表で構成されている。議席は人口に応じて、バイエルン州は6議席、ザールラント州は3議席といった形で各州に配分されている。議員はそれぞれの州政府の指示に基づき、賛否を一括して表明する仕組みで、議員独自の判断はできない。州政府内で意見がまとまらない場合は棄権となる。
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