英国のケンドール労務・年金相は18日、大規模な社会福祉制度改革案を発表した。病人や障害者向け給付金制度の1つである個人自立手当(PIP)の支給要件を厳格化し、2030年までに50億ポンドの歳出削減を目指す。
また、労働能力判定(WCA)制度を廃止し、障害や病気を抱える人々の就労支援プログラムに10億ポンドを拠出する方針だ。
ケンドール氏は背景として、国内の16~24歳の8人に1人が就労・就学・職業訓練のいずれも行っていない状況に言及。長期的な療養により就労が難しい人々も280万人に上り、先進7カ国(G7)で最悪の水準にあると指摘した。
コロナ禍以降、雇用支援手当(ESA)とは別に、病気や障害などを持つ人々に特別な生活費を給付するPIPの受給者が急増しているとして、支給要件の厳格化を目指す方針。これにより100万人が影響を受ける見込みだが、大幅な歳出削減につながるとしている。
ケンドール氏は今回提示した改革案により、就労できない人々が今後も必要な支援を受けられると共に、障害者や長期療養者の社会進出・復帰を促すことができると説明。スターマー首相は「われわれは前保守党政権の破綻した社会保障制度を引き継いだ」としつつ、大規模な改革により国民に対し必要な支援を実現すると強調した。
一方、最大野党・保守党はこの制度改革案に強い懸念を表明している。
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