英国のレイノルズ・ビジネス貿易相は12日、米政権が鉄鋼とアルミニウムの輸入に対して一律25%の関税を発動したことを受け、「残念だ」とのコメントを発表した。ただ、英政府は報復措置を取らず、追加関税を撤廃するため、引き続き英米の経済協定締結を目指すとしている。
フィナンシャル・タイムズなどによると、スターマー首相は10日にトランプ米大統領と電話で会談し、英国製品への関税を回避するよう求めたが、実現しなかった。2月に米ワシントンで開かれた両国の首脳会談では、トランプ氏が「真の貿易協定」に言及。交渉次第では関税を回避できる可能性があるとしていた。
レイノルズ氏は声明で「われわれは実用的なアプローチに注力している」と強調。一方で「英産業に対する支援をしっかりと続けていく。政府は影響を受ける企業と協力し、国内の生産者を保護するためにどのような追加措置が必要かを検討する」と述べた。
英政府は2月に国内の鉄鋼業界支援に最大25億ポンドを投じると発表したが、業界団体は先行きに警戒感を示している。
鉄鋼業界団体UKスチールによると、米国は欧州連合(EU)に次ぐ重要な鉄鋼の輸出市場で、金額ベースでは全体の9%を占める。12日に発表した声明で「英国の鉄鋼業界にとって最悪のタイミングで関税が課された。国内ではエネルギーコストの高騰と需要の低迷に悩まされ、世界情勢は供給過剰で保護主義が強まっている」と強調。英政府に対し、自国の輸出業を守るために「断固たる行動」を求めた。
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