英国政府は4日、昨年10月に下院に提出した「雇用権利法案」の修正案を発表した。最低労働時間を保証しない「ゼロアワー」契約の禁止対象を拡大するほか、集団的解雇の規制を厳格化するなど、労働者の権利を一段と強化している。
修正案では、全国で最大90万人に上る派遣労働者をゼロアワー契約の禁止対象に追加。また、企業が従業員との十分な協議を経ず集団的解雇を行った場合、これまでは最大90日分の給与の補償を義務付けていたが、これを最大180日分に拡大する。法定傷病手当の拡充や労使関係の法的枠組みの刷新なども打ち出している。
レイナー副首相は「英国経済が低成長と低生産性にむしばまれる一方で、労働者は不安定で低賃金の非正規労働を強いられてきた」とし、雇用権利の強化により「この流れを変える」としている。また、レイノルズ・ビジネス貿易相は、同法案により「最良の人材を引き付け、英国の潜在能力を最大限に引き出す」としている。
政府は今回の修正に先立ち、企業や労組からの意見公募を実施してきた。ただフィナンシャル・タイムズによると、200項目超に上る今回の修正案には、企業側が強く求めてきた緩和措置はまったく含まれていない。企業は、不当解雇からの保護期間を採用後2年からでなく採用初日からとする案や、従業員をいったん解雇して再雇用する慣行の廃止案などについて、見直しを要求していた。[労務]
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