英国政府の独立諮問機関である気候変動委員会(CCC)は26日、2038~42年を対象とする「第7次炭素予算」の中で、政府が目標とする50年のネットゼロ達成に向けた課題を明らかにした。ヒートポンプへの切り替えや電気自動車(EV)導入の加速を促す内容で、目標を達成するには、40年までに二酸化炭素(CO2)排出量を1990年比で87%削減する必要があるという。
CCCはこの中で、家庭用ヒートポンプの設置割合を2040年までに全世帯の5割に引き上げる必要があると指摘。政府は補助金の拡大や規制緩和を進めているが、現在の設置率割合はわずか1%にとどまっており、目標達成にはさらなる後押しが求められる。自動車については、同年までに国内を走る車両の8割をEVとすることを推奨。これを実現するには、30年以降は新車販売のほぼ全てをEVにする必要がある。
同委はまた、再生可能エネルギーの活用や、食肉・乳製品の消費抑制なども提言。一方、ロンドン・ヒースロー空港などの拡張プロジェクトに伴う影響は検証されておらず、航空業界の炭素排出量は40年までに23年比で17%減少すると見積もっている。
炭素予算は、08年の気候変動法で導入されたもの。5年間の炭素排出量削減目標やその達成方法などについて、独立した立場から英政府に提言を行っている。第1次と第2次では、19年までに産業界の炭素排出量を1990年比で44%削減することに成功するなど成果を上げた。[環境ニュース]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。