英下院の決算委員会は7日、公的支援の対象となっている二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)プロジェクト2件について、財務省に精査するよう勧告した。技術が確立されておらず、支援額に見合った成果が得られるかが不透明であることに加え、プロジェクトが成功した場合に政府と国民に利益が還元される規定がないことを問題視している。
政府は昨年10月、イングランド北部マージーサイド(Merseyside)と北東部ティーサイド(Teesside)で計画されているCCSプロジェクトに、向こう25年間で最大217億ポンドを拠出することを決めた。炭素回収能力は両プロジェクト合わせて年間850万トンで、財源は電力への新たな課税などを計画している。
決算委は今回、これら2件のプロジェクトへの公的支援はエネルギー価格の上昇につながり、消費者や産業への負担が大きいと説明。また、技術自体が新しく、想定されているだけの成果が出るか疑問が残るとしている。さらに、CCS施設を稼働させるために必要となる液化天然ガス(LNG)の生産時にCO2が排出されるため、低炭素化の効果が当初の想定を下回ることが科学的に証明されている点も指摘した。
報道によると、英国ではスコットランドやエネルギー集約型産業の集積地であるイングランド北東部ハンバーでもCCSプロジェクトが計画されているが、こうしたプロジェクトは支援対象に入っていないことに対しても批判が出ている。[環境ニュース]
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