ドイツの中道右派政党・キリスト教民主同盟(CDU)は3日、ベルリンで党大会を開いた。CDUは2月23日の連邦議会(下院)選挙で、姉妹政党・キリスト教社会同盟(CSU)とともに、政権奪還を狙っている。党大会では、総選挙で勝利した場合に即座に実行する、15項目の「緊急プログラム」を決議した。
緊急プログラムは主に、経済対策と移民政策から成る。経済対策では、電力税と電力網使用料金を引き下げると宣言。1キロワット時当たり、少なくとも5セントの負担軽減を図る。
行政手続きの簡素化にも取り組む。領収書の発行義務の削減や、サプライチェーン(供給網)関連の規制緩和、エネルギー効率化法の見直しを進める。
農家向け政策としては、農業用ディーゼル燃料補助の全面復活を約束した。
働き方改革も進める。法定労働時間を1日単位ではなく、1週間当たりで管理することで、より柔軟な勤務を可能にする。残業手当は非課税にし、就業時間を超えて働く人の手取り額を増やす。また、年金生活者の就労も促進し、月2,000ユーロまでの給与を非課税とする。
経済対策には、飲食店の付加価値税(VAT)を19%から7%に引き下げることも盛り込んだ。
移民政策では、「非正規移民の流入を阻止する」と宣言。全国の陸上国境での入国管理を恒久的に継続することや、国外退去命令が下った外国人の犯罪者や危険人物を、強制送還が実行されるまで確実に拘束する方針などを示した。
また、CDU・CSU連合が提出し、1月31日に連邦議会で僅差で否決された「流入制限法案」を成立させると明記。法案は、難民条約上の難民には該当しないものの、国際的な保護が必要な「補完的保護」の対象者としてドイツで認定を受けた人が、家族を呼び寄せることを制限する内容。連邦警察に、強制送還予定の人物を拘束する権限を持たせることや、国境で移民を追い返すための権限を強化することなども盛り込まれていた。
移民政策ではこのほか、社会民主党(SPD)主導の現政権で導入された、帰化に必要な在留年数の短縮も見直す方針だ。
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